障害児を育てるのは大変ですよね。
ただでさえ、お金がなくて生活も大変なのに…。
仕事を始めようにも幼稚園の延長保育では手がかかるからと断られるし、幼稚園への送り迎えに加えて、療育施設への送り迎えで働く時間も確保できない!光熱費はどんどん上がるし、生活は困窮するばかり…。
特別児童扶養手当(特児)は障害がある子どもをもった親の経済面の強い味方です!
かなり高額な手当になるため、もらうためのハードルも高いですが、事前の予習や準備をすることで可能性を少しでもあげて挑みましょう!
特別児童扶養手当(特児)とは?誰がもらえるの?
特別児童扶養手当は精神または身体の障害のある20歳未満の児童をもつ保護者に対して支給される手当です。もらえる障害の状態は政令の定める程度があり、1級と2級に分かれます。
似ている制度として障害児福祉手当があげられます。
支給金額に大きな差がある1級と2級は、主に療育手帳、身体障害者手帳の等級によって区別されることが多いです。
1級は療育手帳A(重度)・身体障害者手帳1、2級
2級は療育手帳B・身体障害者手帳3級または4級の一部
手帳がなくても特別児童扶養手当の支給対象になる場合もあります。また、療育手帳や身体障害者手帳が上記の級に当てはまっていても、診断書の内容で変わる場合があります。特に療育手帳のB2(軽度)などの場合はもらえない場合も多いです。
今回は身体障害ではなく、知的障害と発達障害について詳しく解説します。
いくらもらえるの?
法律では毎月1級は5万円、2級は3万3000円となっています。この金額は毎年4月に改定され、法律の金額は最低金額となり少し多く支給されているようです。
2023年現在は1級は月々5万2400円、2級は月々3万4900円。
4月と8月と12月に4ヵ月分まとめて支給されます。
つまり年間、1級で62万8800円、2級で41万8800円振り込まれます。
ちなみに非課税なので上記金額がそのまま入金され、児童手当や児童扶養手当、乳幼児・小中学生医療費助成制度、ひとり親家庭医療費助成制度、重度心身障がい児(者)医療費助成制度などの所得判定にも影響しません。
仮に3歳〜20歳までもらえるとすれば1級の場合1000万、2級の場合でも700万を超える大金になります。申請日からもらえますが、申請日以前にさかのぼって貰うことはできませんので、早めに対応したほうが合計金額は大きくなります。
もらえる障害の程度は?
知的障害や発達障害の基準は厚生労働省の文章にも明確には書かれていません。
大まかな基準は決まっていますが、現在は自治体の判断に委ねられています。
知的障害の場合
障害の状態 | IQ | 療育手帳の等級 | |
1級 | ・知的障害がある ・食事や身の回りのことを行うのに全面的な支援が必要 ・会話による意思の疎通が不可能か著しく困難 ・日常生活が困難で常時支援を必要とする | おおむね35以下 | A(重度) |
2級 | ・知的障害がある ・食事や身の回りのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要 ・会話による意思の疎通が簡単なものに限られている ・日常生活にあたって援助が必要 | おおむね50以下 |
発達障害の場合
発達障害とは自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など
障害の状態 | |
1級 | ・発達障害がある ・社会性やコミュニケーション能力が欠如している ・著しく不適応な行動がみられる ・日常生活への適応が困難で常時援助が必要 |
2級 | ・発達障害がある ・社会性やコミュニケーション能力が乏しい ・不適応な行動がみられる ・日常生活への適応にあたって援助が必要 |
療育手帳はA(重度)の場合は1級だが、精神障害者保健福祉手帳の等級とは関わらないのでもらえるかどうかは認定診断書を見た自治体の判断になります。
上記黄色マーカー部分が1級と2級の違いになってくる部分です。
所得制限がある!
保護者本人、その配偶者、保護者と生計が同じ扶養家族(父母、兄弟など)の前年の所得によってもらえない場合がある。保護者だけでなく、保護者の親族(兄弟児など)の所得によってもらえない場合もあるようです。
厚生労働省のHPで詳細が確認できます。
扶養人数にもよりますが、一般的な家庭で申請者の手取り収入500万~600万(額面650万~700万)程度以上収入がある場合はもらえない可能性があるようです。
申請の手続きに必要なもの
保護者のうちの収入が多い方が申請者となります。
地方自治体(役所の窓口やホームページ)から、
特別児童扶養手当の認定請求書と認定診断書をもらいます。(療育手帳がA(重度)判定の場合は認定診断書は不要で1級と認定されます。)
申請者と障害児の戸籍謄本・抄本
申請者と障害児の世帯全員の住民票
申請者、配偶者、申請者と生計が同じ扶養親族の所得に関する書類(マイナンバーなどで省略可能な場合あり)
役所で確認することで省略できる書類があるかもしれませんので、詳細は窓口で確認していただくほうが確実です。
特別児童扶養手当の認定診断書項目
申請時のコツ!
自治体は医師が記入する認定診断書を見て審査します。つまり認定診断書に何が書かれているのかが重要になります!
認定診断書について、
厚生労働省は、精神保健指定医、精神医療センターの医師、児童相談所の医師などが望ましいとしていますが、地域小児科の医師に記入してもらっても問題ありません。
ただ、特別児童扶養手当に詳しくない医師もいると思いますのであらかじめ問い合わせて確認してみることをオススメします。
児童相談所の医師に療育手帳の判断をお願いした場合は、認定診断書を作成してくれる場合もあるようです。
コツと言えるような事ではないかもしれませんが、医師に記入してもらう前に認定診断書の内容を把握して行くことを強くオススメします。
医師に記入してもらうときに問診があると思いますので、どのように記入してほしいか伝えましょう。嘘はダメですが、必要以上に子どものできることなどを伝えるべきではないと思います。
例えばですが、
⑬日常の生活能力の程度という欄に【食事・洗面・排泄・衣服・入浴・危険物・睡眠】の項目があります。
医師に問診された際に、「できる時もある」など曖昧な答えをするべきではなく、常に介助しているならそのことをはっきり伝え、全介助の項目に丸をしてもらうようにしましょう。
さらに、具体的に困っていることを書く欄もありますので、そこにどのような事で困っているのかはっきり書いてもらいましょう。
親の気持ちとしてはできることに目を向けたくなりますが、判断する側は認定診断書に書かれていることを見て判断します。どのように書かれていれば申請が通るのか自分でも考えながら医師に記入してもらい、そして記入された内容を確認しましょう。
自分が書いて欲しい内容が書かれていなければ、医師に伝えて書いてもらうようにしましょう。
認定の判断
大事なことなのでもう一度書きます。
認定の判断をする者は、認定診断書を見て判断します。
そして嘘は絶対ダメですが、テクニックはあると思います。
もし却下になった場合
結果は郵送で届きます。
もし却下になった場合でも、不服申し立てすることで、どういった部分で審査に通らなかったか確認できる場合があります。
却下になった内容がどうしようもない場合は仕方ありませんが、納得いかない場合は医師に相談しなおして認定診断書の内容を修正してもらう等の対応で再審査してもらい、無事通過できる場合もあります。
現在の社会的問題点
特別児童扶養手当は法律で決まっている制度ですが、認定基準に地域格差があり問題となっています。障害基礎年金の方ではあいまいな基準が解消され地域格差がなくなってきていますので、特別児童扶養手当も数年中にも今より明確な基準が出されると思います。
そうなれば地域格差は少なくなると思います。
感想
特別児童扶養手当は馬鹿にならない金額です。
本当に必要としている方には届くべきだと思っています。
もし数年内に明確な基準が決まったとしても、人間はそういった基準で簡単に計れるようなものではないと思います。
ましてや住んでいる地域、問診時のテクニックや診断書を書く医師によって通ったり通らなかったりするのはすごく不本意です。
少しでもそういったときの力になれるように何かできればと思いますので、これからもよろしくお願いします。
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