2024年10月4日・5日に大阪のハービスホールで開催された「富士フイルムメディカルEXPANDING|OSAKA」に参加したレポートです。
富士フイルムメディカルEXPANDINGとは
富士フイルムメディカルとは
富士フイルムメディカルは、富士グループの医療機器部門です。
2000年 | 富士の医療機器部門が富士フイルムメディカル株式会社に社名変更 |
2021年3月 | 富士フイルムは日立メディカル部門(日立メディコ)を買収 |
2021年7月 | 買収した日立メディコの社名を「富士フイルムヘルスケアマニュファクチャリング株式会社」(以下、富士フイルムヘルスケア)に変更 |
2024年(今年) | 富士フイルムメディカルが富士フイルムヘルスケア(旧:日立メディコ)の事業内容を継承し、富士グループの医療機器部門は富士フイルムメディカルに統合 |
富士フイルムメディカルEXPANDINGとは
今回の富士フイルムメディカルEXPANDINGでは、富士フイルムメディカルが富士フイルムヘルスケアとの統合により拡充した機器ラインナップが展示されました。
国内最大級の放射線機器展示会「ITEM」に参加したことがある方なら、富士フイルムブースを大阪に持ってきたような展示会でした。
展示会参加の目的
業務に役立つ最新の製品情報を収集するために訪問しました。最新の機器を知ることで、今後の医療技術の流れが見えてくるからです。
…というのは建前で、実は筆者のガジェット好きが高じた好奇心も大きな理由です。
展示会の様子
写真撮影ができなかったため、全体的な印象をお伝えします。
会場内はスーツ姿の人が多く、夕方になると私服の医療関係者も見受けられました。
CTとMRIコーナーでは、定期的に紹介イベントが行われていました。
すべてのコーナーを回りきれなかったため、特に気になった部分についてお伝えします。
会場地図
①病院経営支援コーナー
主に以下の製品が展示されていました
- 各部門システムを統合するインターフェース
- 放射線関連画像のビューワー
- 胸部レントゲンの病変検出ソフト
- 院内セキュリティ対策のためのネットワーク管理システム
CITA
電子カルテと各部門システム(PACS・レポートシステム・生理検査など)を統合するインターフェースです。電子カルテとCITAを連携し、PACSや生理検査のビュアーを呼び出すことなく一連で検査の時系列や情報を確認できます。
特に昨今、医療安全管理で見落とし防止対策が課題に上がります。
CITA上でレポートや生理検査の既読管理ができ、既読になっていなければ管理者へ連絡がいくようにできます。
②健診コーナー
血液検査や画像の一元管理システムなどが展示されていました。
③総合検査コーナー
内視鏡やエコー関連の機器が展示されていました。
④マンモコーナー
マンモグラフィやエコー機器が展示されていました。
特にマンモグラフィでは、過去の撮影データを基に撮影ポジションを再現する機能が注目されていました。
⑤放射線検査コーナー
主に以下の製品が展示されていました
- AIを活用した放射線治療計画システム
- AIを活用した読影支援システム
- AIを活用したワークステーション(画像処理)システム
- ポータブルレントゲン装置
- FPD(フラットパネル)と車いす
- オペ室外科用イメージ装置など
REiLI
AIを活用した読影支援システムで、肺の結節や肋骨骨折を自動で抽出し、サイズの変化を自動測定する機能があります。現在はあくまで専門医の読影後の支援としてですが、AI技術の進化が医療の現場でますます重要になりそうです。
FPD(フラットパネル)と車いす
全脊柱が撮影できる車いすと長尺用のFPDが展示されていました。
座面の後ろにFPDを固定できるようになっていて、全脊柱撮影以外でも、座位で撮影する胸腹部などのレントゲンも安全に撮影できそうだと感じました。
でも、結局患者さんをその車いすに移さないといけない問題点もあります。
オペ室外科用イメージ装置
一般的な外科用イメージ装置とは別に、充電式のイメージ装置が展示されていました。
一般的なイメージ装置は3D像を撮影することができ、ナビゲーション装置と連携してオペを助けます。
充電式のイメージ装置はコンセントを指さずに使用できる(もちろんコンセントを指した状態でも使用できる)。モニタとCアームは無線で通信するので、線を繋げる必要がない。
普通にレントゲンを撮影することができ、FPDの交換が可能でサイズ変更が可能。
デメリットとしては固定陽極ということなので、腰椎など体圧の厚い部位の長時間オペでは難しいかもしれませんが、コンセプトとしては非常に面白い製品だと感じました。
⑥CT&MRIコーナー
CTとMRIの最新機種が展示されていました。
CT
2024年現在の富士のCT製品ラインナップとしては64列のもののみになります。
AIを用いた再構成を行うことで低被ばくで高画質な画像が作成できます。
ゼロヘリウムMRI
冷却にヘリウムを使わない画期的な1.5TのMRIが展示されていました。
AIを用いて撮影中の動きをカットすることができたり、S/Nが低い画像をAIが補完することで撮影時間を短縮できるようです。
⑦クリニックコーナー
主に以下の製品が展示されていました
- クリニック向けの一般撮影装置
- コンパクトタイプの骨密度装置
- クリニック向け内視鏡
- クリニック向けエコーなど
ALPHYS LS
腰椎と股関節で骨密度が測定可能なコンパクトタイプの装置で、狭い撮影室にも設置可能な点が印象的でした。
⑧動物病院系コーナー
こちらは時間が足りず見学できませんでした。
まとめ:富士製品を一気に見れるいい機会でした
今回の「富士フイルムメディカルEXPANDING|OSAKA」では、富士フイルムが統合した医療機器ラインナップを一気に見られる貴重な機会となりました。
普段は個別にデモされる機器も、この展示会ではシステム全体の流れが分かる形で紹介されており、富士フイルムが目指す医療現場の効率化やAI技術の活用が非常にわかりやすかったです。
特に、AI技術を取り入れた読影支援システムや、ヘリウムを使わないMRIなど、今後の医療技術の進歩を感じさせる製品が目立ちました。また、大型のCTやMRIを実際に目にする機会は少ないため、こういった機器を直接見て体感できたことは、放射線技師として非常に有意義な体験でした。
大阪でこのような大規模展示会が開催されたのはとてもありがたく、今後もこうした機会が続いていくことを期待しています。
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